音は不思議なもので、聞いていて心地よいものとそうでないものが存在します。
好みの音楽となると話はさらに複雑になりますが、少なくとも自然の音、鳥のさえずりや小川のせせらぎなどは、ほぼすべての人が心地よいと感じる一方、工事現場の騒音や交通量の多い道の音を心地よいと感じないのはなぜでしょうか?
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音が生み出す違い
音の原理は空気の振動です。音を発する物体が空気を揺らし、それが空気中や建物・地面を伝わって人の耳に入るとき、それは音として認識されます。
つまるところ、物質的には心地よい鳥のさえずりや眠りを誘うクラシック音楽と、夜中に騒ぐ声や工事の騒音は変わりなく、どちらも空気の振動に過ぎません。
では、心地良さの違いが生まれるのはなぜでしょうか?その違いは「1/fゆらぎ」(f分の1ゆらぎ)にあります。
頻度・周波数を意味する英語frequencyを使って表すこの言葉は、音を数値化した時の表現です。前述のように音には振動があり、その振動の速さを数値化できます。
揺れが速い音ほど高い音に感じ、揺れの周期が遅いと低い音に感じます。そして、人が心地よいと感じる音は、心拍数のスピードに近いと言われています。
これには呼吸やα波も続き、人や生き物が発生する音や生命活動の周期がこの「1/fゆらぎ」であることが分かっています。自分の持つリズムと似ているので、鳥のさえずりや自然の音は心地よく感じるという仕組みです。
大きさと高さも関係
加えて、音の大きさや高さも心地よいと感じるかどうかに影響します。黒板をひっかく音に代表されるように、金切り音や叫び声などの高すぎる音は、通常の活動で人が発したり聞くものではないため、体は無意識に警戒態勢に入ってしまいます。
地鳴りのするような工事現場の音や吹かすエンジン音も低すぎて体に響くため、やはり通常以上の負荷がかかります。
好きな音楽を聴くときも、スピーカーのボリュームは自然と固定されるもので、あまりに大きいと鼓膜への物理的なダメージを避けられません。
音楽の違いについては、未だ研究途上にある
ではある人にとって好ましい音楽が他の人に不快になるのも、こうした物理的な影響が関係しているのでしょうか?
これに関しては、現代科学でもまだ解明し切れていない分野です。特定の音楽がリラックス効果をもたらしたり意欲を与える効果が観察されているものの、人の感情や育った環境がもたらす力はそれ以上に大きいからです。
まとめ
心地よい音は、心身ともに健康な生活の一つの要素です。心地よい音楽をかけること体をいたわるのも重要なケアになります。